笑顔が素敵な職場のおじさまに、食事に誘われた。
さぞ楽しい時間を過ごせるだろうと軽い気持ちで受けた。 仕事が終って待ち合わせの店に行くと、既におじさまは 席について待っていた。 「お待たせしましたぁ~」とかなんとか言って私が席に座ると 彼はいきなりこれを差し出したのである。 「・・・・・・・・・。」 「ああ、これ僕が折ったの。バラだよ。」 む。確かにバラだ。そしてうまい。それは認める。 だけど一体これはなんなんだ。 一気にこの場の空気が読めなくなってしまった。 わけがわからぬまま、目の前の料理を次から次へと たいらげていった。なんか食べながら説明して くれているんだが、一切頭に入ってこない。 あれこれやってるうちに食事が終った。 席をたつ。時計を見る。1時間も経っていない。 「これからタクシーで面白いところに行くから」 そしていつもの笑顔。 着いた先は六本木のニューハーフの店。 おじさまは終始嬉しそうにニコニコ彼女らだか 彼らだかを眺めていた。 やはりいつもの笑顔である。 だがもはや優しく素敵なおじさまの姿はそこになく ニタニタといやらしく笑っているだけの単なるスケベ エロオヤジが隣にいるだけだった。 その時、私のカバンの中で真っ赤なバラがぐしゃっと 惨めに潰れる音を聞いた。
by h1h11
| 2006-06-17 00:24
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